7日目 ・かえって危ない?コンボイ軍団
・待ってましたアビドス
・あら不思議!消えたお巡りさん
・ついでにデンデラ
・ミイラの作り方
 
 今日は金曜日。イスラム教では休日です。以前アル・ミニアに行った時、金曜で博物館から何もかも休みだったことを思い出して心配したのですが、アビドスは大丈夫とのこと。7時45分にホテルの前でアハマドと待ち合わせ。ホテル近くのコンボイの集合場所へ向かう。すでに大型バス、バン、タクシーが集まっている。入口で止められて国籍、人数、行先を聞かれる。警官が沢山いて無線でなにやら連絡を取り合っている。すごい数の車が集まってきた。なんとなく物々しい雰囲気。皆で敵地に乗り込む訳じゃないんだから、ここまでしなくても・・・と思うが反面ワクワクしてくる。
 お約束通りかなり遅れて出発。それまでドライバーも客も外に出てふらふらしてたのに、急に車に乗りこみ皆一斉にバンバンとドアを閉めてエンジンをかける。「さあ、戦いが始まるぞ!」という感じ(^_^;)。更にバスに押し出される形で私の乗ったタクシーが先頭を走ることになってしまった。先導している警官の車はものすごいスピードで吹っ飛んで行く。先頭の私達から遠く離れてしまっている。いったい何の為の先導なのか??? 後ろを見るとこれまたスゴイ。バスやバンがずっーと後ろまで続いている。先導の警官も見えないし、これじゃ「撃ってくれ」って言っているようなものだ。道路は「最近造ったの?」と思うほどきれいに舗装されている。一直線の道を進んで行くが、横切る道路があるときはそこの車を警官が止めてコンボイ軍団が通り過ぎるのを待っている。子供達は手を振りながら走ってくる。村ごとにチェックポイントがあるようで徐行するがまたものすごいスピードでコンボイ集団は走っていく。
 1時間ちょっとでケナに到着。お店やレストランもあって少しにぎやか。ケナから西に入るとデンデラの遺跡がある。ここでデンデラのみ行く人達と別れる。なんとあれだけいた車が、アビドス行きへ残ったのは4台のみ。それも皆タクシー。ルクソールと同じく国籍等のチェックの後、ケナで交代した警官の先導で出発。
アビドスの途中にあるナグア・ハンマーディまでは左手にナイルを見ながら猛スピードで走る。このあたりのナイルはとても広く、美しく見える。カイロやルクソールのように周りに街がないからなのか? ナグア・ハンマーディでは橋を渡って西側へ行く。橋には線路が付いていた。電車も渡るのだろうか? ここも一方通行なので私達4台が通るまで他の車は待っていてくれる。村の検問以外は止まらないのでかなり早く到着しそうだ。
 アビドスにはケナから1時間と少しで到着。「さあ、見るぞー!」とはりきっていると警官達は「1時間後に集合」と告げると去って行った。えっ、たったの1時間??? そんなバカな! 私としてはアビドスから2キロくらい離れたところにあるピラミッド(17王朝アハモセⅠ世のもの)や初期王朝時代の神殿、墓などを見たいが為にここまで来たのに、行ってる時間が無いじゃない。遺跡にいる門番やツーリストポリス何人かに聞いてみるがセティⅠ世葬祭殿以外見ること(行くこと)は出来ないとのこと。至るところにツーリストポリスがいるのでこっそり(^_^;)行くこともできないし・・・。
 アビドスについて少し。オシリス神話の中心地で、バラバラにされたオシリスの頭部を埋葬したとされる。先王朝時代からキリスト教時代まで栄えた。アビドスのウンム・エル・カアブというエリアにはカア、デン、ナルメル等、初期王朝時代の王達の墓がある。竪穴の墓の周りに桝目のようなレンガ製の部屋が付いている形式から、周壁を造りその中に祠や丘のような墓を持つ形に変化していった。これらがピラミッドの原型ではないかと考えられている。91年に第2王朝の王墓の近くで舟坑が発見され、中はレンガ造りで漆喰と彩色が施されており、1列に並んだ12の木製の舟が見つかっている。舟の大きさは19から29メートルもあった。
 中王国時代になると第1王朝の王墓はオシリスの墓と同一視されるようになった。「死ぬとオシリスとなり再生復活できる」とのオシリス信仰が広まり、アビドスへの巡礼や空墓の造営が行われるようになった。
 現在、観光で見ることが出来るのは、第19王朝のセティⅠ世による『セティⅠ世葬祭殿』とこの葬祭殿の北にある『ラムセス2世神殿』、『セティⅠ世葬祭殿』の裏にある『オシレイオン』のみとなっています。
『セティⅠ世葬祭殿』は王名表があることで有名です。また、普通は1つしかない聖所が7つあり、6人の神とセティⅠ世が祭られている。『ラムセス2世神殿』には綺麗なレリーフが残っています。『オシレイオン』は巨大な花崗岩のブロックで出来ていて、ギザのスフィンクス前にある神殿と同じような建築方法がとられていて、天地創造の時の『原初の丘』を再現したものと考えられている。これまで古王国時代のものと思われていましたが、古王国時代の建築方法を採用した新王国時代の神殿、ということがわかってきました。内部は水で埋まっており、見ることができません。階段がついているので途中まで降りていくことが出来ますが、ひげが沢山生えた魚(なまず?)がいてちょっと怖かったです。
  オシレイオン
 時間がないのでセティⅠ世葬祭殿はサラッと見て周り、王名表をじっくり見る。葬祭殿の裏に出てオシレイオンに行く。葬祭殿より低い位置にあり、階段を降りて行くと神殿は水に浸かっている。昔来た時は中に入れたような記憶があるのだが・・・。目をこらして見ても、見えるのはひげの生えた魚だけ。巨大な石を使っていて、スフィンクス神殿の構造に似ている。あまり身を乗り出して落ちるといけないので上に戻る。オシレイオンの後ろの方に屋根の壊れた横長の部屋があり、中を覗くと綺麗な壁画が残っている。
 まだ時間があるので隣のラムセス2世神殿に行くことにした。とはいっても葬祭殿と神殿の間には村があってどこが神殿だかわからない。さっきから人のことを遠くから見張っているツーリストポリスに近づいて場所を聞く。しかし、時間がないとか遠いとか言って教えてくれない。他のツーリストポリスに「どーしても見たい」、「わざわざ見るために日本から来たんだから!」と駄々をこねると無線でなにか連絡して連れていってくれることになった。どこから来たのか、私の他に5人のポリス。らくだに乗った人2人と歩き3人。らくだポリスに前後、歩きポリスに左右と挟まれて、まるで逮捕されたよう。そのうえ皆歩くのが早い。
 神殿に到着するとガイドが説明をしてくれる。第1塔門は破壊されていてないので第2塔門から入る。屋根や大きな柱はないが壁画は色も残っていて、とても美しい。第2塔門を出たところにセド祭殿の跡が残っていた。一緒に来たツーリストポリス達は見学を急かすようなことを言ったりしないが、時間を気にしているようなので戻ることにする。私はTシャツにジーンズで汗びっしょりなのに皆は制服の上にセーターを着ている。それに編み上げのブーツ。たとえ生まれ育ったにしても汗一つかかないなんてどこか悪いんじゃないか?と心配になる。らくだポリスの写真を撮りたいと言うと歩きポリス3人が前に並んでポーズ。いざ撮ろうとすると先頭を歩いていた年長のらくだポリスがすっ飛んで来て「ラー!(だめ)」。「いいでしょ? 問題ないでしょ」と言うが絶対ダメとのこと。他のポリス達が怒られてしまうので諦める。魂取られる訳でもないし、覆面捜査官でもないんだから良いじゃない、と思うんだけど。セティⅠ世葬祭殿に戻るまでの約10分間、悪さしてないかチラッチラッと私達の方を振り返る年長らくだポリス。お礼を言って葬祭殿入り口へと戻る。時間ピッタリ。
  
ラムセスⅡ世神殿にて。上のほうから見張っているのが、年長らくだポリス。
 到着した時には気が付かなかったが、遺跡入り口には売店の他にトイレまである。なんだか綺麗に整備されている。他の3人も戻ってきている。ドライバーのアハマドにお腹がすいた事を言うと、入り口から離れたところにあるお店を案内してくれた。よくあるアエーシ(パン)に色々挟んでサンドイッチを作ってくれるお店だった。なぜかお店の人はいなくてアハマドが作ってくれた。ターメイヤ、フライドポテト、ナスの揚げ物、サラダにターヒーナ(ごまダレ)を詰めて出来あがり。大きいのを2つも食べた。美味しかった。あとはルクソールに戻るだけ。
 先導の警官も揃って、12時半に出発。まっすぐの一本道をひたすら走る。さとうきびの収穫の時期らしく山のように積んだトラックがのろのろ走っている。先導の警官は反対車線に飛び出してトラックをぬかしてどんどん行ってしまう。トラックからはさとうきびがはみ出していて反対側から来る車は良く見えないので、スイスイとはぬかして行けない。20分位走った時、先頭のタクシーが止まった。そして私の乗ったタクシーも後ろの2台も止まった。「ど、どうしたの?」と思っているとドライバー4人が集まって何かゴソゴソと喋ったとたん笑い出した! 「お巡りさん、いなくなっちゃったよ」。そう、先頭と最後尾を走っているはずの警官たちが消えてしまったのです! 田舎の道でタクシー4台止まって、客は皆外国人。村人や子供達が集まってきて大騒ぎになってしまいました。「私達だけで戻れば」と言うと警護無しには走れないと言うのです。危ないという意味ではなく、ケナや途中の検問で問題になるらしいのです。しばらく待っても戻って来る気配がないので、ドライバーの1人がアビドス方向に戻ることになりました。
 車の外で待っていると子供達がハロー、ハローと寄ってくる。すると老人が杖を振り回して追い払う。キャーキャー言って逃げる子供達。この繰り返しを10分くらい見たところでアビドス方面に戻ったドライバーが他の警官達を連れて帰ってきました。
 車の中から出てきたのはいかにも上官という感じの男性。背が高く、広い肩には落ちそうなほど星が乗っています。ドライバーと話をした後、この上官(?)が先導してくれることになりました。しばらく走るとまた止まりました。今度は何?と思っていると私達のタクシーをぬかして猛スピードで警察の車が先頭に飛び出しました。消えたお巡りさん達が戻ってきたのです! 大きな上官の前で星1つの若い警官達は敬礼した後、一生懸命に説明してペコペコしているのです。一緒に説明を聞いていたドライバーによると、なんと礼拝の為、モスクに行っていたとの事。そうそう、今日は金曜日。理由がこれじゃ上官もあまり叱れないナー。
でも、行くのはいいけど一言いってくれれば良いのに。まったく人騒がせな警官達だ。 
 ケナに到着。他の3台はデンデラへ。私はそのままルクソールに帰るつもりだったのですが、検問で「先導する警官がいないので他の人達と一緒にデンデラへ寄っていけ」と無理やりデンデラへ行かされてしまいました。検問のガード(ルクソール方面の)開けてくれないんですよ。びっくり。
 デンデラも見学の時間は少ない。まずは、地下の電球(^_^;)の壁画を真っ先に見ることに。入り口を開けてもらって1人でゆっくり見る。今度は階段を上って屋上へ出る。祠を覗いて今度は反対側の階段を降りてくる。なんだか忙しい見学だ。今回ハトホル神殿以外は見ることが出来なかった。
 アビドスでピラミッドを見ることが出来なかったのはガッカリしたが、なんだかエジプトらしい楽しい1日だった。無事ルクソールに到着。少し休んでから日が沈む前にミイラ博物館に行く。今回はルクソール博物館には行かなかった。チケットを買って、カメラを預ける。薄暗いところにミイラやミイラを作る道具が展示されている。ミイラだったらカイロ博物館の展示の方が迫力あるな。中はくるっと一周すると終わりなのでショッピングのついでによると良いかもしれない。
時間が余ったので土産物屋のアーケードを見る。今日は疲れたので買い物は明日。エジプトでの買い物は体力いるから・・・。
明日は山登りだ!(ちょっと大げさ?)


          

          



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